「空っぽ」の私がつづるラブレター(古賀史健さんのライター講座を聴いて)

「空っぽ」であることが、ずっとコンプレックスだった。

取材をして、文章を書くという仕事をしていると、日々たくさんの素敵な人に出会う。

みんな、自分の中に語るべき言葉や、ストーリーを持っている方ばかりだ。

一度として同じ取材はないので、取材の前はいつもワクワクする。

聞かせてもらったお話で自分の中をいっぱいにして、1滴もこぼさないよう大切に持って帰って、原稿にする仕事はとても楽しい。

でも、全力で原稿を書き、間違いや引っかかりがないよう何度も読み返しながら修正して完成させ、旅立たせた後、いつも思うのだ。

「ああ、また空っぽに戻っちゃったな」と。

お祭りが終わった翌朝、魔法が解けた空き地で、盆踊りの舞台が解体されるのを眺めるような、何とも言えない寂寥感。

みんな、語るべき言葉をたくさん持っているのに、私自身の中には何もない。

なーんにも持っていない私の、空っぽで透明な箱の中を、すうすうと風が吹き抜けていく。

(つづきは↓)


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