駒場文学散歩
朝、目が覚めたら雨が降っていたので、今日は熱い紅茶をいれて、本を読んで過ごそうと思い立つ。
家で読むのも素敵だけれど、せっかくのお休み。
新たな本との出会いをもとめて、ずっと行きたかったあの場所へ行こう。
というわけで、やってきたのは駒場公園。
日本近代文学館の中にある、「BUNDAN」です。
このカフェは…もう本当に好き!
とにかく好きなポイントがたくさんありすぎて、何から話そうか焦って舌が絡まって、生まれて初めて好きな女の子に告白しようとする男子中学生みたいになってしまうわけですが、とりあえずこの、コーヒーのメニューを見てください。
「芥川」に「寺山」に「鷗外」ですよ!
牛乳コーヒーに至っては寺田寅彦です。
しかもひとつずつ、コーヒーの説明にしては長すぎる、ほとんど掌編小説みたいな解説がついてる。
コーヒーだけじゃなく、食事もデザートも、全部この調子なんです。
メニュー読むだけで一日過ごせるわー。
そして天井までびっしりと本が並んだ本棚。
売り物ではないですが、読み放題です。
無造作を装いながら、計算された本の並びがにくいです。
この日は迷いに迷った挙句、中谷宇吉郎の「フレッシュトマトと揚げなすのフランス風サラダ」と、宮沢賢治の「ベーリング行列車の紅茶」をオーダーしました。
テーブルの上で、中谷先生と賢治さんが夢のコラボレーション…
次回は太宰治の「グリンピイスのスウプ」か、林芙美子の「牛めし」か…と妄想しつつ、食事と読書を楽しんで文学館を後にし、雨上がりで気持ちが良かったので、少し公園内を散策。
少し歩くと、重要文化財に指定されているというレトロな洋館が。
興味をひかれて、中を見学することに。
旧加賀藩主で、前田家第16代当主、前田利為さんのご自宅だった建物だそう。
駒場公園一帯が、前田家の敷地だったのですね。
こんなお屋敷で毎日を暮らすというのはどんな心持ちだったのか、そして利為さんが戦地で亡くなってしまった後、家族がどんな思いで戦後を生き抜いたのかを知りたくて、利為さんの長女、酒井美意子さんの著書を読み始めました。
本屋さんでは出会えない、こんな思いがけない本との出会いも散歩の醍醐味です。
元文学少女も歩けば良書に当たる。
ゴールデンウィークの愉しみがひとつ増えました。
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