「だいじょうぶ」の魔法

「だいじょうぶ」ってよく言うんだね、と友達に言われた。

そう言われてみれば、たしかに。

家族にも、友達にも、仕事でも、私、一日中「だいじょうぶだよ」「だいじょうぶです」って言ってる。

いつからだろう。

昔は、不安が強い子どもだったから、人とかかわること全般がこわくて、ぜんぜんだいじょうぶじゃなかった。

大人になって就職してからも、目の前のことにいっぱいいっぱいで、ますますだいじょうぶじゃなくなった。

ああ、そっか。

「だいじょうぶ」って言うようになったのは、私が「おかあさん」と呼ばれるようになってからだ。

生まれたての赤ちゃんはふにゃふにゃで、とても小さくて、泣いてばかりいて、何かひとつでも間違えたら取り返しのつかないことになりそうで、私はとてもこわかった。

深夜、泣きやまない子どもと一緒に泣きながら「だいじょうぶ、だいじょうぶ」

熱を出してぐったりした子どもを抱えておろおろしながら「だいじょうぶ、だいじょうぶ」

はじめは、自分に言い聞かせていた。

だいじょうぶ。きっと何とかなる。明日になれば、きっと笑いばなし。

だいじょうぶ、だいじょうぶ。

(つづきは↓)

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