書けなくなったライターは、ライティング・ゼミで魔法を取り戻せるのか?
「魔法が……弱くなってる」
私は呆然として呟いた。
物心ついたときから、私の夢はたったひとつ、文章を書く人になることだった。
大学を卒業して新聞記者になり、結婚を機に退職してフリーライターになった。やがて、編集の仕事もするようになった。
書くことは、ただただ楽しかった。
「なぜ書くのか」なんて考えたこともなかった。
けれど、今。
「文章の書き方」を忘れたライターの私は、空飛ぶ魔法を忘れた魔女のキキみたいに、折れたホウキを抱えて呆然と立ち尽くしている。
一体、どうしてこんなことになったんだろう?
一生けんめい文章を書いて、発注してくれた人や読んだ人に喜んでもらえると、本当に嬉しかった。もっともっとがんばって、いい文章を書こうと思った。
でも、あるときふと思ってしまったのだ。
「いい文章」って、何だろう?と。
誰かが読んで、感動の涙を流す文章?
新しい情報がたくさん詰まった文章?
クライアントの新商品を魅力的に紹介して、たくさん買ってもらえる文章?
一度考え始めると、止まらなかった。
何のために書くのか。
文章を書くことの目的を、私は完全に見失っていた。
(つづきは↓)
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