ロックンロールを君に

ステージの灯りがついて、エレキギターが開放弦で大音量を響かせた瞬間にわかった。

私に足りなかったのはロックンロールだ。

いつの間にか、体の中の音をぜんぶ使い果たして、私のコップはすっからかんのカラカラにひからびていた。

あと一日でも音楽を補充するタイミングが遅れたら、私の体は「のしイカ」みたいにペラペラになって、風に吹かれてどこかに飛んでいってしまっただろう。

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