「お母さん」と「働く私」のバランスに迷ったとき

著者は、保育園へのお迎えつき夜間保育&学童保育所あっとほーむ(晩ごはんを食べ、お風呂に入ることもできるそう!)を運営する小栗ショウコさんと、松蔭大学で女性のキャリアについて研究しながら、仕事と子育てを両立してきた田中聖華さん。

スーパーウーマンじゃない、ごくふつうの女性が育児と仕事を両立していくための、肩の凝らないアドバイスがたくさん紹介されていて、「ほっ」とする内容。

最後の章、放課後の長い時間を「あっとほーむ」で過ごしてきた子どもたちの「あっとほーむはどんなところ?」という質問の答えが、泣けた。


「しつけもしてもらった。小栗さんはあきらめない。言うことを聞かなくても、ダメなことは、ダメだとわかるまで、ずーっと教えてくれた人。」


家族のほかに、本気で自分を思ってくれる人がいると感じながら育った子どもは、社会に出ても人を信じられるだろうし、困った人に手を差しのべることができる大人になると思う。

それから、このくだり。


「子どもがママに求めるのは、笑顔でぎゅ~っと抱きしめてもらい、今日1日の出来事をゆとりを持って聞いてもらうことです。たまにはスーパーで買ったお惣菜でもいいし、納豆ご飯だけでもいいんです。

1日くらいお風呂に入らなくても、それでママが笑顔で自分の話を聞いてくれる時間ができるなら、子どもにとってこれほど嬉しいことはありません。」


できないことを数えてイライラするとき、わたしはたいてい子供の顔を見ていない。そんな母親を、息子は心配そうな顔でじっと見守っている。「お母さん、大好き」と言ってくれることもある。それはたぶん、お母さんの笑顔が見たいから。


完璧じゃなくてもいい。部屋が多少汚くても、ごはんのおかずが一品少なくなってもいい。子供の顔を、ちゃんと見よう。「今日は何をして遊んだの?」って話しかけよう。それができないくらい追いつめられているときは、誰かに助けを求めよう。声を上げれば、助けてくれる人は必ずいる。


そんなことを、あらためて思わせてくれる本だった。

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